今回はイタリア料理を食べたときにどれくらいの栄養素が摂取できるのか、グラフで分かりやすく解説していきたいと思います。前回に引き続きパスタを調べてみました。なお、栄養摂取状況の算出における前提条件等は別記事でまとめてありますのでご確認ください。
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今回は30~49歳の男性が1日に摂取すべき栄養素として制定されている数値を基に計算していますが、18~29歳や50~59歳の方もさほど変わりはありません。また、鉄分は女性の方が多く摂取する必要性がありますが、それ以外は基本的に男性より少ない栄養量に設定されていますので、女性の方も参考にしていただけるかと思います。
ボンゴレ・ビアンコ
南イタリア発祥のあさりを使用したパスタです。ボンゴレを直訳すると貝、ビアンコは白と言う意味になります。日本ではあさりのみを使用することがほとんどですが、イタリアではあさりやはまぐり等、複数の2枚貝を使用するようです「ボンゴレ・ロッソ」というパスタもあり、こらはトマトソースなどを使って赤色(ロッソ)に仕上がったパスタのことです。あさりは殻付きのまま調理され、パスタはロングパスタと相性が良いとされています。白ワインで蒸したあさりとその出汁がパスタに絡み、シンプルながら飽きの来ない伝統的なレシピです。
材料
基本的な食材として、
- パスタ 100g
- 殻付きあさり 200g
- 薬味
唐辛子 0.3g
にんにく 8g
イタリアンパセリ 5g
調味料として、
- オリーブオイル 大さじ2
- ゆで汁 30g
グラフ
たんぱく質はパスタの分に加え、具のあさりによって30%程度を確保しています。脂質はオリーブオイルによって高めになり、炭水化物はパスタの分のみで少な目です。目を引くのは1日分の1,517%となっているビタミンB12です。ビタミンB12は造血作用に関わる重要な栄養素ですが、腸内細菌によっても合成されるので、基本的に不足することはなく、また、過剰摂取しても余剰分は吸収されないようなので、あさりをたくさん食べても安心です。全体的に凹凸の激しいグラフですが、たった5gのイタリアンパセリがビタミンA・K・Cなどを補ってくれています。
プッタネスカ
アンチョビ・オリーブ・ケッパーの塩味と唐辛子の辛味を利かせた、刺激的なナポリの名物パスタで、トマトソース系パスタの一種です。入っている具材はイタリア家庭では常備されているものが多いそうです。名前は「娼婦風のパスタ」を意味しますが、その由来には諸説あり、「娼婦は昼食時も忙しいため、色々なものをごった混ぜにしてパスタと和えて食べた」説、「刺激的な味わいが娼婦を思わせるパスタ」説など、他にもあるようです。今だと色々なところから波紋を呼びそうな名前です。
材料
基本的な食材として、
- パスタ 100g
- トマト缶 100g
- 黒オリーブ 20g
- 薬味
アンチョビ 5g
ケッパー 5g
唐辛子 0.3g
にんにく 8g
イタリアンパセリ 5g
調味料として、
- オリーブオイル 大さじ1
- 塩 少々
- 胡椒 少々
グラフ
たんぱく質・脂質・炭水化物の3大栄養素は平均的な量含まれています。ケッパーについては食品成分データベースに該当がなかったため、このグラフには含まれていません。フウチョウボク科の木の蕾らしいのですが、似た食材も分からないので栄養価を推定することもできませんでした。ほとんどの食材でビタミンEが豊富なため、積み上げられて高い数値になっています。一方、塩分も多くなりやすいので注意が必要です。また、今回は薬味の項目にアンチョビが入っているのでビタミンB12が多くなっています。他のオイルパスタと同じようにビタミンD・ヨウ素はほとんど含まれていません。
ペスカトーレ
日本語に直訳すると「漁師風」という意味になるパスタ。北イタリアのマッジョーレ湖・ペスカトーレ島が発祥の地だと言われており、その漁師さんたちが余った魚やそのアラなどをトマトソースに入れて煮込んだことがはじまりで、当時はアラ汁のような位置づけだったようです。現在では具材にイカ・エビ・あさり・ムール貝などが入っていることが多いですが、一定のレシピはなく、好みの魚介類をトマトソースで仕上げた料理にはペスカトーレという名が付くことが多いです。
材料
基本的な食材として、
調味料として、
- オリーブオイル 大さじ1
- 白ワイン 50g
- 塩 少々
- 胡椒 少々
グラフ
具だくさんのパスタであるため、たんぱく質多く含まれています。脂質・炭水化物に関しても一定の量が含まれています。ボンゴレ・ビアンコと同じように、貝類が入っているのでビタミンB12は非常に高い数値を表しています。ビタミンDこそ含まれていませんが、全体的に10%以上を含み、30%前後の数値の多いバランスの取れた料理であると言えます。特に、ビタミンE・ナイアシン・鉄・銅が多くなっています。
サーモンクリームパスタ
クリームパスタと言えば、ポルチーニを使ったものが有名ですが、食品成分データベースにポルチーニがなかったので、次に一般的だと思われるサーモンとしました。クリームパスタには明確な定義が存在しません。 生クリームを使わずに、豆乳や牛乳などを使ったレシピも存在し、乳製品を使ってこってりと仕上げたソース、程度の認識です。スモークサーモンを使って他の塩味を抑えるタイプもありますが、普通のサーモンを使ったタイプで計算してみました。
材料
基本的な食材として、
- パスタ 100g
- サーモン 80g
- 玉ねぎ 40g
- 生クリーム 100g
調味料として、
- オリーブオイル 大さじ1
- 塩 少々
- 胡椒 少々
グラフ
たんぱく質は十分な量、炭水化物も一定の量が含まれていると言えますが、脂質についてはサーモンと生クリーム、そしてオリーブオイルによって非常に多くなっています。クリームパスタは基本的に生クリームを使用するので、どれも同じ傾向かと思われます。他の栄養素については、葉酸やビタミンCなど少ないものはありますが、全体的に高い数値です。ほうれん草などの葉野菜を加えるとより良い栄養価になるのではないかと思います。
ボッタルガ
ボッタルガとはカラスミのことです。イタリアではボラの一種であるムッジネのものとマグロのものが主に流通しており、ムッジネの方が高級品とされています。イタリアでボッタルガを食べる機会は日本よりもさらに日常的で、すり下ろしたパウダー状のものが瓶詰にされて売られていて、サッとパスタを作ることができます。ボッタルガ自体に旨味と塩味がつまっているので、その他の材料は非常にシンプルになっています。
材料
基本的な食材として、
- パスタ 100g
- からすみ 20g
- 薬味
唐辛子 0.3g
にんにく 8g
イタリアンパセリ 5g
調味料として、
- オリーブオイル 大さじ1
- 塩 少々
グラフ
炭水化物はパスタ分のみなので少な目ですが、たんぱく質・脂質は平均的な量と言えます。からすみは20gとあまり多くない分量ですが、栄養価に及ぼす影響はかなり大きいです。ほとんどの料理で不足しているビタミンDが非常に豊富であり、ビタミンE・B12も多く、ビタミンAやミネラル類なども含まれています。ですが、シンプルな料理の宿命として、栄養価の偏りはどうしてもありますので、他の食事で補っていく必要があります。
おわりに
追加で5種類のパスタを調べてみました。魚介類だけなど、1つのジャンルの食材だけになると栄養が偏ってしまうことが良く分かったと思います。次回は、パスタではありますが、イタリア料理ではなく日本オリジナルのパスタを紹介していきます。