今回からは定番の洋食について栄養素を調べていきたいと思います。なお、栄養摂取状況の算出における前提条件等は別記事でまとめてありますのでご確認ください。
cloth-nutri0319.hatenablog.com今回は30~49歳の男性が1日に摂取すべき栄養素として制定されている数値を基に計算していますが、18~29歳や50~59歳の方もさほど変わりはありません。また、鉄分は女性の方が多く摂取する必要性がありますが、それ以外は基本的に男性より少ない栄養量に設定されていますので、女性の方も参考にしていただけるかと思います。
オムライス
鶏肉や玉ねぎの入ったケチャップライスを卵でくるんだ料理で、家庭でも定番の一品です。「ポムの樹」というオムライス専門店もありますよね。最後にケチャップでハートや文字を書いて楽しむのも醍醐味です。今回は昔ながらの薄焼き卵タイプではなく、半熟気味に焼いた卵を想定しているため、1人前につき卵は2つとしています。
材料
基本的な食材として、
- 卵 2個
- 鶏もも肉 50g
- 玉ねぎ 30g
- マッシュルーム 25g
- ごはん 160g
調味料として、
- ケチャップ 大さじ2
- 塩 少々
- 胡椒 少々
- バター 10g
グラフ
この食材を基に算出した栄養摂取状況は下記の通りです。
たんぱく質・脂質は十分な量ですが、ごはんの量が少ないため炭水化物は少なくなっています。ただでさえ栄養価の高い卵を2つも使っているため、黄色い部分がグラフの大半を占めています。ビタミンA・D・E・B2・B6・B12・葉酸・ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・リン・鉄・亜鉛・銅・ヨウ素、大部分の栄養素が十分な量摂取できます。そして以外にも、ケチャップの栄養価が高く、調味料の部分が多くなっていることが分かるかと思います。しかし、鶏肉など他の具合を含めても、ビタミンCとカルシウムが不足しており、他の食事で補う必要があります。
ハンバーグ
こちらも家庭料理では定番ですね。子供が好きな代表的な料理で、一緒にこねたり焼いたりと、料理に興味を持つきっかけになることも多いかと思います。ですがなかなか洋食店で食べるような肉汁あふれるハンバーグに仕上げるのは難しいですよね。今回は牛:豚=7:3の合挽き肉、つなぎはパン粉、ソースはケチャップとウスターソースをメインに使ったオーソドックスなハンバーグを想定しています。また、セットで出されるライスは大きめお茶碗1杯分(180g)としています。
材料
基本的な食材として、
- 合挽き肉 150g
- 玉ねぎ 30g
- その他材料
卵 1/2個
パン粉 大さじ2
牛乳 大さじ2
- つけあわせ
にんじん 20g
ブロッコリー 20g
じゃがいも 20g
- ごはん 180g
調味料として、
- ケチャップ 大さじ1
- ウスターソース 大さじ1
- 赤ワイン 大さじ1/2
- 塩 少々
グラフ
この食材を基に算出した栄養摂取状況は下記の通りです。
たんぱく質・脂質は十分な量ですが、ごはんの量が少ないため炭水化物は若干少なくなっています。ナイアシン・ビタミンB12・亜鉛などは飛びぬけて多く含まれていますが、その他の栄養素についてもバランス良く含まれています。特に肉料理にありがちなビタミンCの少なさについても、つけあわせの野菜(ブロッコリー)のおかげである程度補われています。また、ハンバーグのつなぎに卵が入っていることもバランスの良さに反映されています。
ステーキ
言ってしまえば、牛の一枚肉を焼いただけの料理です。シンプルそのものであるため、肉の品質および部位・焼き加減・ソース・薬味によって味がかなり左右されます。昔はステーキハウスや洋食屋で食べるものという認識でしたが、近年は「いきなりステーキ」に代表されるような、手軽に食べられる店舗が多く進出し、ファストフードのような一面を持ってきています。今回は輸入牛肉のサーロインで算出してみました。
材料
基本的な食材として、
- サーロイン 200g
- つけあわせ
にんじん 20g
ブロッコリー 20g
じゃがいも 20g
- ごはん 180g
調味料として、
- 玉ねぎ 20g
- にんにく 5g
- 酒 大さじ1
- 砂糖 小さじ1/2
- 酢 大さじ1/2
- 醤油 大さじ1
グラフ
この食材を基に算出した栄養摂取状況は下記の通りです。
肉の量が200gと多いため、たんぱく質・脂質はかなりの量になっています。こちらもごはんの量が少ないため、炭水化物は若干少なくなっています。ハンバーグと比べると、つけあわせの内容は同じですが、つなぎの卵・牛乳が入っていない純粋な肉である分、凹凸の大きいグラフになってしまっています。ビタミンE・K・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・カリウム・リン・鉄・亜鉛・銅は豊富に含まれている一方、特にカルシウム・ヨウ素は非常に乏しいようです。
エビフライ
えびにパン粉をつけてフライにした料理です。えびの大きさによって満足度もかなり変わってくる料理だと思います。今回は大きめのブラックタイガーを3匹使用することとしています。また、つけあわせには千切りキャベツ100gとトマト1/8カット、エビフライには欠かせないタルタルソースもちゃんと計算に入れています。
材料
基本的な食材として、
- ブラックタイガー 100g
- 衣
小麦粉 5g
卵 8g
パン粉 8g
食材の重さに対し、衣の原料となる小麦粉・卵・パン粉がそれぞれ5%・8%・8%の重さで付着し、油で揚げることで、衣を含めた総重量の10%の油を吸うと想定します。 - つけあわせ
キャベツ 100g
トマト 20g - タルタルソース
卵 1/2個
ピクルス 5g
玉ねぎ 5g
マヨネーズ 15g
パセリ 少々 - ごはん 180g
調味料として、
- 中濃ソース 大さじ1
グラフ
この食材を基に算出した栄養摂取状況は下記の通りです。
たんぱく質・脂質・炭水化物の三大栄養素は十分な量含まれています。肉ではなくえびを主役にする料理なので、栄養素の偏りが違ってきています。えびにはビタミンE・B12・ナイアシン・銅が突出していて、その他のミネラル類もバランス良く含まれています。また、つけあわせのキャベツも栄養価的には重要な部分で、千切り100gは手で一掴みくらいの量かと思いますが、ビタミンK・C・葉酸が十分な量加算されています。料理では脇役ですが、栄養価的には重要な役割を担っていますね。
マカロニグラタン
フランスの郷土料理が発祥といわれる、日本でも一般的に知られる料理です。グラタンを作る際に肉や魚介と野菜に絡める牛乳と小麦粉のソースはベシャメルソースと呼ばれます。良くホワイトソースと言われますが、これは西洋料理で使われる白色のソース全般のことを指すそうです。今回は鶏肉とえびをそれぞれメイン具材に使ったグラタンで算出してみました。
材料
基本的な材料として、
- 牛乳 200g
- チーズ 20g
調味料として、
- 小麦粉 10g
- 塩 小さじ1/4
- バター 5g
グラフ
この食材を基に算出した栄養摂取状況は下記の通りです。
たんぱく質・脂質の量は十分な量です。マカロニ・小麦粉が入っているものの、あまり炭水化物は多くないようです。全体的にバランス良いグラフになっており、ビタミンD・マンガンなど、少なめの栄養素もありますが、1日分の20%前後を確保できている栄養素が多いです。特にブロッコリー・牛乳・チーズの栄養価が高く、他の料理では不足しがちなカルシウムが高くなっています。
具材をえびに変更
グラタンの具材としてえびもポピュラーかと思います。鶏もも肉を同量のえびに変えた場合の栄養価はどうなるのでしょうか。
大きな違いはありませんが、脂質が少なくなり、たんぱく質が増えています。ビタミンE・B12・ミネラル類全般はえびの方が多く含まれているようです。
おわりに
今回は定番の洋食を紹介しました。今までよりも使う食材や調理法など変わっているかと思いますが、良く摂れる栄養素、不足しがちな栄養素、全体的な傾向は変わらないようです。個人的には、卵と牛乳の栄養価の高さを再確認した回でもありました。