前回に引き続きパスタなのですが、日本で独自にアレンジされた5品を調べてみました。食材や味付けが前回とガラッと変わります。なお、栄養摂取状況の算出における前提条件等は別記事でまとめてありますのでご確認ください。
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今回は30~49歳の男性が1日に摂取すべき栄養素として制定されている数値を基に計算していますが、18~29歳や50~59歳の方もさほど変わりはありません。また、鉄分は女性の方が多く摂取する必要性がありますが、それ以外は基本的に男性より少ない栄養量に設定されていますので、女性の方も参考にしていただけるかと思います。
たらこパスタ
たらの卵巣であるたらこをパスタに和えた料理で、パックされたレトルト食品を始め、茹でたパスタに振りかけるタイプも販売されており、日本ではポピュラーなパスタ料理です。バター醤油ベースのソースが一般的で、のりや大葉などが散りばめられています。発祥は1953年に創業した渋谷「壁の穴」というお店で、客の要望で作ったキャビアのパスタにヒントを得て開発したそうです。日本独自のパスタですが、旅行に来たイタリア人からも美味しいという声が聞かれます。
材料
基本的な食材として、
- パスタ 100g
- たらこ 40g
- 薬味
大葉 1枚
のり 1/4枚
調味料として、
- 醤油 大さじ1/2
- バター 10g
- 牛乳 大さじ1
- 生クリーム 大さじ1
グラフ
たんぱく質は豊富、脂質・炭水化物は平均的な数値です。たらこのおかげで、偏りがありながらも高い栄養価を表す部分が多くなっています。具体的にはビタミンE・B1・B12・ナイアシン・パントテン酸・ヨウ素です。また、ビタミンD・B2・C・ビオチンなども1食分としては十分な量が含まれています。一方、塩分も多い食材なので注意が必要です。調味料には乳製品が含まれているので、脂質が多くなるのと同時に、全体的な栄養素の上乗せがされています。
ナポリタン
日本の洋食店や喫茶店で広く提供されてきた、ウィンナー・ピーマン・玉ねぎなどの具材を入れ、主にケチャップで味付けされたパスタ。イタリア料理のパスタはアルデンテが良しとされますが、ナポリタンについては、茹でてから一晩置いたような芯もコシもない麺で作ったものこそがナポリタンだという声が強いです。名前はイタリアの都市ナポリに由来しますが、ナポリにはナポリタンという料理はありません。また、イタリア人もケチャップを使うパスタは信じられないと否定的な意見が多いようです。
材料
基本的な食材として、
- パスタ 100g
- ウィンナー 50g
- 玉ねぎ 40g
- ピーマン 40g
調味料として、
- ケチャップ 大さじ3
- ウスターソース 小さじ1
- 牛乳 大さじ2
- 砂糖 小さじ1
- 塩 小さじ1/4
グラフ
たんぱく質・脂質・炭水化物の3大栄養素は十分な量含まれています。ウィンナーに含まれるビタミンB群やナイアシンが多いのは当然ですが、ビタミンCも相当量含まれています。これは酸化防止剤として入っている分が表れているためです。ピーマンもビタミンCが豊富なため、珍しく高い数値になっています。主な調味料はケチャップですが、元がトマトであるため、炭水化物や塩分のみならず、牛乳と併せて全体的に栄養素を補ってくれています。
和風きのこパスタ
こちらもパスタを和風にアレンジしたものの1つで、きのこをメイン食材に使用し、醤油やめんつゆなどで味付けをします。冷凍食品にもなっているほど、和風パスタとして浸透している料理と言えます。きのこについては決まった種類はなく、しめじ・まいたけ・えのき・しいたけ・エリンギなど様々です。ベーコンを入れる場合もありますが、今回はきのこのみの具材を想定して計算してみました。
材料
基本的な食材として、
- パスタ 100g
- しめじ 50g
- まいたけ 50g
- きのこ 50g
調味料として、
- 醤油 小さじ2
- 和風だし 小さじ1
- バター 10g
グラフ
たんぱく質は十分な量ですが、脂質と炭水化物は控えめです。具材は豊富ですが、全てきのこであるため、栄養価の傾向は似ています。特に、ビタミンB群・ナイアシン・葉酸・パントテン酸・ビオチン・カリウム・銅はどのきのこも豊富です。ビタミンDについては、まいたけが突出して多く含まれています。和風パスタは、醤油や和風だしを多用するので、塩分が多くなりがちです。パスタを茹でる際に入れる塩を少なくして、調整した方が良いでしょう。
納豆パスタ
納豆をパスタの具材とした料理です。納豆が日本固有のものなので、納豆パスタも間違いなく日本でしか食べられていないと思われます。パスタを茹でる以外は、プライパンや火を必要としないので、手軽にできるシンプルさも嬉しいポイントです。今回は納豆と卵黄だけの具材ですが、アレンジとしてしらすやツナを加えても美味しく仕上がります。
材料
基本的な食材として、
- パスタ 100g
- 納豆 40g
- 卵黄 1個
- 薬味
こねぎ 3g
のり 1/4個
調味料として、
- 醤油 小さじ2
- 和風だし 小さじ1
- ごま油 小さじ1
グラフ
たんぱく質は十分な量ですが、脂質と炭水化物はやや控えめです。納豆と卵黄は共に高栄養価食材として有名で、多くの項目で1日分の20%以上をマークしていますが、ビタミンCだけは少ないです。ビタミンCは生野菜やフルーツなど、しっかり意識しないと摂取が難しいですね。前回でもそうでしたが、薬味に使われる食材は少量ながら、料理全体の栄養価に与える影響が大きいです。今回で言うと、のりのビタミンB12とヨウ素です。美味しいだけでなく、栄養価的にも重要だということはぜひ覚えておきたいポイントです。
ツナパスタ
ツナ缶の旨味と玉ねぎの甘みを効かせた和風パスタです。ツナ缶は世界的に食べられており、イタリアでもポピュラーですが、パスタにする場合はトマトソースやアンチョビ・レモン・オリーブなど、当たり前ですが日本のそれとは違う組み合わせで調理されます。ツナ缶が既に完成されている食材なので、調理も簡単に済ませることが出来ますが、栄養価の方はどうなのでしょうか。ツナ缶は調味液の半分以上が油で構成される油漬タイプのホワイトツナを想定しています。
材料
基本的な食材として、
- パスタ 100g
- ツナ缶 70g
- 玉ねぎ 40g
- 薬味
にんにく 8g
こねぎ 3g
調味料として、
- 醤油 小さじ2
- 和風だし 小さじ1
グラフ
たんぱく質と脂質は十分な量含まれていますが、炭水化物は控えめです。ツナ缶はオイルが多いタイプなので、脂質・ビタミンEが多くなります。栄養価の高いイメージがありましたが、豊富な栄養素とそうでない栄養素の差が激しい食材でした。野菜に多いビタミンA・K・Cに加え、カルシウム・ヨウ素は不足しており、他の食事で補う必要がありそうです。
おわりに
日本独自のパスタを調べてみました。比較的調理が簡単なものが多かったですね。今回でパスタは終わりにしますが、改めてグラフを眺めてみると、パスタ自体の栄養価がごはんに比べると高いことが分かります。次回もイタリア料理ですが、ピザなどの他の料理を調べていきます。